
出産、育児、介護、配偶者の転勤などでキャリアを休止しなければならない理由はさまざまですが、一度診療現場を離れてしまったため、その後、復帰するタイミングが掴めないまま今日に至っているという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。せっかく積み上げたキャリアを生かしきれていないのであればそれは大変残念なことだと思います。
医師の働き方改革では一人でも多くの医師を生かすための対応が考えられています。当センターにおいても復職を希望する医師に何らかのサポートを行っていきたいと考え、今回「グリーンアップルプロジェクト」として各診療科の復職支援の概要をご紹介いたします。
この「グリーンアップルプロジェクト」は建築家の安藤忠雄氏のオブジェから名付けました。
安藤忠雄氏は、「希望を心に持ち続ける限り、人間はいつまでも青春を生きられる。人生100年、いつまでも熟しきらない、“青りんご”たれ!」と唱えており、生涯青春時代を象徴する青りんごのオブジェが兵庫県立美術館及び大阪中の島こども本の森に設置されています。
本学の復職支援プロジェクトもこの精神にあやかり、現在医療現場から離れてはいるが再び医療の仕事に戻りたいとの希望を持っておられる方に何かお手伝いができるのではないかと考えています。復職を希望される方、今悩んでおられる方、先ずは一歩踏み出すことから始めてはいかがでしょうか?センターにご相談いただければと思います。
皆様からのご連絡をお待ちしています。

小児科で復職研修を受けられた島崎先生にお話を伺いました。
研修は2022年3月~2023年2月の1年間で、島崎先生のご希望を取り入れ、週に1回半日(4時間程度)のスケジュールで行い、月ごとに分野を決めて研修いただきました。
本院を希望された動機などを教えてください。

ー 国内で小児科医として10年ほど臨床に従事していた後、海外で15年間小児がんに対する細胞療法の研究を行ってきました。2021年に帰国してからはiPS細胞を用いた細胞療法の研究を始めましたが、同時に小児科の臨床も再開したいと思いました。ただ、臨床から長く離れていたこともあり、学び直しの必要を感じ、貴学の復職支援プログラムに応募しようと思いました。
研修を通して習得されたことを教えてください。
ー 専門としていた小児の血液腫瘍の臨床だけでなく、専門外の小児のアレルギーや神経、内分泌等の他の領域の臨床も見学でき、リハビリやアップデートだけでなく、新しいことも学ぶことができました。また、臨床の場に接して患者さんとのかかわりを思い出すこともできました。
目的としていたことがどのくらい達成されたか(達成率)を教えてください。
ー 達成率を設定していたわけではありませんが、臨床を一通り経験することができたことで満足しています。
どのようなサポートがあれば良かったと思われますか。
ー 皆さんに親切な対応をしていただきましたので、特に不自由などは感じませんでした。
今後のご予定を教えていただけますか。

ー 2023年4月から他の大学病院で研究を行いながら臨床も行う予定です。(1週のうち4日研究、1日血液の臨床をする予定)
最後に研修全体を通して感じたことを教えてください。
ー 研修中は外来見学を主にしていましたが、本格的な復帰には、実際に自分で行い経験を積む必要があることがよく分かりました。今回の研修では実践という次のステップに進むことへの躊躇いを解消し、習得しておくべき知識を明確にしてくれました。また、研修プログラムのスケジュールを現在の自分の仕事に合わせて作成することができた点も良かったと思います。