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  2. 情報公開
  3. 2020年度 事業計画及び予算概要

Ⅰ. 事業計画

1.はじめに

2019年度の世界経済は、米中間の貿易・技術面における緊張の高まりや英国のEU離脱をめぐる長引く不透明感の影響を受け、実質GDP成長率(購買力平価基準)は減速することとなりました。地域別に見ると、米国は、良好な雇用・所得環境を背景とした個人消費の堅調に支えられ、実体経済は減速しつつプラス成長しましたが、中国は、個人消費がプラス成長を牽引するも、雇用環境の悪化・所得の伸びの鈍化等により成長に力強さを欠きました。また、ユーロ経済圏も、雇用・所得環境の緩やかな回復を外需減速による悪影響が上回り、わずかなプラス成長に留まりました。そして、ここに来て新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界規模で人やモノの動きが縮小し経済に大きな悪影響を及ぼしております。
2019年度の日本経済は、2018年度から緩やかな景気回復が続いており、高水準の企業収益や雇用所得環境の改善などにより消費及び投資などの内需は底堅く推移しましたが、これまで高い伸びを続けていた情報関連財(スマートフォンやデータセンター向けの機器・部品)の輸出が一服し、底堅いながらも力強さを欠く状況でした。また、新型コロナウイルス感染症の影響により観光需要の減少、大型イベントの中止などが相次ぎ、日本経済も世界経済と同様にその悪影響の継続が懸念されます。
日本の社会情勢は、5月に新しい天皇陛下が即位され、新元号である「令和」が始まりました。天皇の退位に伴う改元は憲政史上初であり、「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ」という意味が込められているこの元号に期待が寄せられています。
教育界では、私立学校法の改正(学校法人制度の管理運営の改善を図る観点から、役員の職務と責任の明確化、経営力の強化、情報公開の充実、破綻処理手続きの円滑化を内容とするもの)、2020年4月より開始される「高等教育の修学支援新制度」による大学無償化等の政策実施が決定されました。また、医療界では、消費増税や医師の働き方改革に伴う臨時の診療報酬改定(医療機関が医療資材を調達する際に支払う消費税の軽減が目的)、働き方改革関連法の施行(労働時間・勤務間インターバル制度の普及促進、同一労働同一賃金等、より一層の対応が求められる)等の出来事がありました。
2019年度の法人活動としては、医学教育分野別評価の認定、働き方改革の推進(勤務実態調査、有給休暇取得の奨励等)、病院新本館建築(病院5号館、臨床講堂棟及び共同利用会館の解体等)、高槻中学校・高槻高等学校キャンパス整備(第Ⅲ期工事)、大学統合に向けた各種検討などが行われました。また、2020年4月に学校教育法及び私立学校法等の一部改正が行われることを受け、寄附行為をはじめとする法人の諸規則の整備を行うとともに、私立大学ガバナンス・コードの制定に対する準備等、法人のガバナンス体制の見直しや整備に注力してまいりました。
2020年度は、2021年4月の大学統合に向けた検討・調整が本格化します。文部科学省への設置認可申請をはじめ、各ワーキンググループによる両大学間の擦り合わせ、新人事制度の導入など、大学統合によるシナジー効果を最大限に発揮するための展開を行います。また、引き続き、各施設の環境整備(病院新本館、高槻中学校・高槻高等学校)を進めることにより、法人としての経営資源を更に充実させ、より良い運営を行います。
そのため、「学校法人大阪医科薬科大学 中(長)期事業計画2019-2025」に基づき、2020年の法人スローガンを「Society5.0の実践」と定め、大学統合や病院新本館建築をはじめとした各施策への展開を図り、Society5.0(超スマート社会)において安全高質なSuper Smart教育・研究・医療を実現するため、以下の事業を進めます。

2.主たる事業項目

[1]組織体制、施設整備、財政基盤の強化等に関する取組み

(1)組織体制

 ① 私立大学ガバナンス・コードを遵守した経営管理体制の構築
   ・私立大学ガバナンス・コードに基づく経営管理体制の実質化
   ・私立学校法改正に伴う規則等の整備
 ② 法人合併の更なる深化(組織の強化)
   ・大学統合の推進
     > 規則の改正
     > 大学名称変更に伴う対応の準備(看板・印刷物等)
     > 法人のシンボルマークの策定と周知
   ・本部機能の強化(法人事務局、法人広報、企画等)
   ・大阪医科大学及び大阪薬科大学の事務組織改編
   ・ITシステムの統合(情報、人事、財務)による事務の効率化
   ・情報セキュリティ対策への取り組み
     > 法人施設への統合サイバーセキュリティ対策(一元管理体制の実現)
     > 情報システム監査導入に向けた取り組み
 ③ 人事
   ・新人事制度の施行(2020年度入職職員より適用)
     > 適正な処遇の構築(看護師、医療技術職員、事務職員)
     > エンプロイアビリティ(被雇用能力)の向上(やりがいや働きがいのある職場づくり)
   ・働き方改革の推進
     > 教職員の業務効率化の推進による時間外労働短縮
     > 勤怠管理の定着
     > 人事異動の推進
   ・女性医師支援から男女共同参画へ
     > 女性医師からすべての医師、研究者等への支援
     > 男女共同参画の啓蒙
     > 障がい者の法定雇用率維持
     > 保育室の機能充実、利用促進
   ・三次救急体制の整備・検討
     > 人事採用計画の具体化

(2)施設整備

   ・病院新本館建築事業(実施設計開始・工事着工)
     > 病院新本館A棟着工
     > エネルギーセンター着工
   ・さわらぎキャンパス・クラブハウス、城北キャンパス・弓道場等
   ・大学キャンパス整備に伴う用地確保
   ・大阪医科薬科大学安満キャンパス(仮称)設置の検討
   ・高槻中学校・高槻高等学校キャンパス整備事業の完了
   ・耐震補強工事

(3)財政基盤の強化

   ・病院医療事業の強化
   ・外部資金獲得の支援強化
   ・募金事業の強化(遺贈の仕組みづくり含む)
   ・支出の抑制(各種委託契約等の見直しによる経常費の効果的配分、組織の統廃合等)

(4)その他

 ① 周年事業
   ・高槻中学校・高等学校創立80周年
 ② サステナビリティ活動
   ・『サステナビリティ活動冊子(第3版)』の発行準備

[2]教育・研究に関する取組み

(1)大学統合の推進

   ・大学統合分科会(教育、研究、学生支援、入試ほか)の定例開催による課題検討、解決
   ・教学システム、学籍番号、学生証等の統一化に向けた検討

(2)教職協働

   ・教職員で構成される「教育及び研究戦略会議」の定例開催による全学的内部質保証の推進
   ・ 文部科学省「私立大学等改革総合支援事業」の推進、競争的研究資金の獲得、学生支援、学生募集、自己点検等の実施

(3)高大接続改革への持続的な対応(中等教育、高等教育、大学入学者選抜の一体的改革)

   ・公平性、透明性の高い入試の維持
   ・医学部、看護学部における「建学の精神」入試の充実

(4)研究の活性化と外部資金の獲得

   ・文部科学省「私立大学等改革総合支援事業」への取り組み
   ・競争的外部資金の更なる獲得
   ・TR部門を中心としたゲノム医療研究の推進
   ・研究業績等のResearchmapデータベースへの登録調整
   ・被引用回数の多い論文数の増加とハイ・インパクトジャーナルへの掲載

(5)研究支援部門の充実

 【研究不正対策への取り組み強化】
   ・研究に関する各指針体系図の公表
   ・研究者と事務職員・技術職員の職務権限の明確化
   ・研究活動に関するFDの実施
   ・研究に従事する事務担当者への啓発活動
   ・研究活動についての実態調査の検討
   ・研究に関するモニタリング及び監査制度の確立
 【実験動物部門】
   ・常勤獣医師の確保による質の高い実験環境の整備と提供
   ・実験動物施設建て替えに向けたプランニングの策定
 【研究機器部門】
   ・研究設備・機器の計画的整備、質の管理の維持による基盤技術の重要性、信頼性の確保
   ・研究機器包括サーバシステムの運用による研究データの管理、有効活用
   ・産学連携の本格展開を目指した新たな機器共用システムの検討
   ・医工薬連携プロジェクトの支援による研究成果の社会還元への寄与
   ・当部門細則・内規の整備による研究支援活動の明確化
   ・研究機器に関する情報共有による利用者への技術支援強化
   ・研究関連人材の育成、確保による基盤技術の維持、振興
 【研究推進部門】
   ・他大学及び企業との共同研究プロジェクトの充実
   ・医工薬連携プロジェクトとして工学、薬学との連携研究制度の充実
 【産学官連携推進】
   ・研究ニーズとシーズの発掘とアナウンスの充実
   ・社会実装としての実用化推進に向けた継続的活動
   ・地域連合としての大阪大学との連携強化、知財獲得と運用の推進
   ・産学官連携コーディネーターによる知的財産マネジメント体制の強化
   ・受託研究・共同研究等の活性化と外部資金の獲得
   ・大阪TLO等の専門機関との連携強化
   ・大学発ベンチャー支援体制の強化
   ・知的財産ポリシーの策定
   ・特許申請、取得の円滑化とライセンスアウトの実施
   ・クロスアポイントメント制度の導入
   ・地域連携センターの設置
 【TR部門】
   ・Bio Resource利用のコンプライアンス強化と実装
   ・Bio Resourceの研究利用に関する体制整備
   ・Bio Resourceを用いた橋渡し研究の推進
   ・Artificial Intelligence (AI)活用による、トランスレーショナル・リサーチの創生
   ・ゲノム医療普及促進のための研究推進
 【医療統計室】
   ・医療統計室の統計的支援による研究活動の活性化
   ・モバイル端末による生活習慣や患者主観的評価情報の収集
 【研究支援システムの更新】
   ・システムの更新(科学研究費補助金、倫理審査、利益相反)
   ・システムの充実(助成金公募)

(6)教員評価制度の実施(大阪医科大学)

(7)情報リテラシー教育の徹底

   ・データサイエンス科目の2021年度開設に向けた教育カリキュラムの整備

(8)医学教育の充実(大阪医科大学)

   ・クリニカルクラークシップの強化
   ・医師国家試験合格率の高位安定化
   ・国際化の推進(国際交流締結校の強化、留学生数の増加、単位互換の充実)
   ・機関別認証評価(大学基準協会)の受審と適合認定取得
   ・大学院医学研究科医科学専攻(修士課程)の設置と入学定員充足

(9)薬学教育の充実(大阪薬科大学)

   ・新カリキュラムに対応した教員組織の整備・充実
   ・薬剤師国家試験合格率の高位安定化
   ・機関別認証評価(大学基準協会)における改善事項への対応
   ・薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応した実務実習の推進
   ・国際交流の推進

(10)看護学教育の充実(大阪医科大学)

   ・カリキュラム評価と構築
   ・国際交流の推進
   ・アクティブ・ラーニングの推進
   ・高度実践看護師養成(老年看護専門看護師、在宅看護専門看護師、ナースプラクティショナー)
   ・障がいのある学生の支援
   ・地域包括ケアの推進(在宅看護支援事業)

(11)中等教育の充実(高槻中学校・高槻高等学校)

   ・教育力の強化
   ・大阪医科大学・大阪薬科大学・他学との高大連携・接続の推進
   ・高大接続改革及び新学習指導要領に対応した新しい教育内容の実践
   ・SSH事業(第2期2年目)及びSGH事業(5年目=最終年度)の推進

(12)社会貢献活動の推進

   ・高槻市とのサステナビリティ事業の継続
   ・兵庫県、高知県に対する地域医療支援の充実、医師派遣の継続
   ・自然災害に対するJMATやDMATの派遣支援

(13)小児高次脳機能研究所の充実によるLDセンター事業の強化

(14)BNCT共同臨床研究所の活性化によるBNCT医療の実用化推進

(15)保健学部(仮称:各種医療系スタッフの育成)設置についての検討開始

[3]医療に関する取組み

(1)超スマート医療への挑戦

   ・健康科学クリニックにおける予防医学の推進(健康寿命の延伸、生活習慣病患者の減少)
   ・患者満足度の高い医療の実現(先進医療、個別化医療、再生医療、地域包括医療)
   ・遠隔診療の検討
   ・地域がん診療連携拠点病院(高度型)の体制強化
   ・がん医療総合センターの強化
   ・がんゲノム医療連携病院としての機能強化
   ・臨床研究センターの体制強化
   ・スーパースマートホスピタル実現に向けた医療情報システムの整備(サイバーセキュリティの確保含む)

(2)特定機能病院の体制強化

   ・開設者、管理者に求められるガバナンス体制の強化
   ・高度医療の開発と高度で安全な医療提供体制の強化

(3)安全で質の高い医療の実践

   ・安全管理体制の永続性の確保
   ・良識のある人間性豊かな医療人の育成
   ・医師・薬剤師・看護師などのチーム医療の実践
   ・患者満足度向上へ向けた取り組みの実践
   ・タスク・シフティングの推進
   ・保険診療指標モニタリング体制の強化など適正な保険診療体制の推進
   ・救命救急センター設置に向けた対応

(4)ケアミックス病院としての機能強化 ~三島南病院の充実を図る~

   ・地域医療機関との連携強化
   ・大学病院・健康科学クリニックとの連携強化
   ・建て替えに向けた黒字化

(5)地域医療連携ネットワークの推進

   ・三島医療圏地域包括ケアシステムの推進
   ・三島南病院、地域医療包括センター、健康科学クリニックの一体化
   ・地域医療機関との連携強化

(6)BNCT医療の提供体制の整備並びに6月からの保険診療開始進

   ・保険診療に向けた諸準備及び運用整備
   ・BNCT医療の安全かつ効率的な提供体制の整備
   ・医師主導治験(再発悪性髄膜腫)の推進
   ・BNCTに資する基盤的非臨床研究の推進

Ⅱ. 各部門の予算概要

1.大阪医科大学

2020年度予算には、病院新本館建築事業に係る病院5号館等の取壊しに伴う建物撤去費、不動産処分差額の合計約10億円、建物建築着手金21億円、その借入金収入21億円を計上しています。

[1]教育活動収支

 ① 学生生徒等納付金
 医学部生及び同大学院生の増員により、前年度より103百万円の増額を見込んでいます。
 ② 手数料
 前年度より2百万円の増額を見込んでいます。
 ③ 寄付金
 創立100周年記念事業募金等により、前年度より44百万円の増額を見込んでいます。
 ④ 経常費等補助金
 教研比率の見直し及び補助対象教員の増員により、292百万円の増額を見込んでいます。
 ⑤ 付随事業収入
 受託事業の増加により、付随事業収入としては前年度より43百万円の増額を見込んでいます。
 ⑥ 医療収入
 大学病院は、2020年4月の診療報酬改定と2019年10月の消費税引上げに伴う診療報酬臨時改定の年間寄与、及び在院日数の短縮と病床稼働率改善及び各種加算により、前年度より1,851百万円の増加を見込んでいます。
 三島南病院は、病床稼働率の改善と入院単価及び外来単価の上昇により、前年度より78百万円の増加を見込んでいます。
 ⑦ 雑収入
 2019年1月に発生した停電に対する高槻市の損害賠償と退職金財団交付金の増加により、59百万円の増額を見込んでいます。
 ⑧ 人件費
 教員人件費は478百万円増加、職員人件費も341百万円の増加となり、人件費の総額は前年度より898百万円の増額を見込んでいます。
 ⑨ 教育研究経費
 教育研究経費は23,422百万円と医療収入増加に伴う医療材料費の増加約11億円と病院5号館の建物等撤去費8億円により前年度より2,124百万円の増額を見込んでいます。
 ⑩ 管理経費
 管理経費については、業務の見直しにより、前年度より9百万円の減少を見込んでいます。

[2]教育活動外収支及び経常収支差額

教育活動外収支差額は前年度並みを、経常収支差額は前年度より344百万円の減少を見込んでいます。

[3]特別収支及び基本金組入前当年度収支差額

特別収入は前年度より53百万円の増額を、特別支出は建物取壊しに伴う不動産処分差額149百万円を計上することにより前年度より162百万円の増額を見込んでいます。予備費を300百万円とし、基本金組入前当年度収支差額は60百万円となり前年度より453百万円の減少を見込んでいます。

[4]まとめ

2020年度予算については、基本金組入前当年度収支差額は60百万円と前年度予算より453百万円の減少を見込んでいますが、特殊要因の建物等撤去費と不動産処分差額合計約10億円を除くと約10億円となり、前年度予算より5億円の増加となります。
資金収支に関しては、施設関係支出は前年度より405百万円増加の1,926百万円を見込んでいます。設備関係支出は前年度より456百万円増加の1,703百万円見込んでいます。2020年度の病院新本館建築関連の支出は2,527百万円を予定しており、これらの支出を賄うため、2,100百万円の金融機関借入を予定しています。結果、翌年度繰越支払資金については9,349百万円と前年度予算より8億円の増加を見込んでいます。

2.大阪薬科大学

[1]教育活動収支

 ① 学生生徒等納付金
 薬学部新入生は入学定員の294名で試算し、前年度予算より16百万円の減額を見込んでいます。
 ② 手数料
 入学検定料は、前年度実績額等をベースに試算し、前年度予算と同程度、その他の手数料収入は、翌年より大学入学共通テストが実施されるが、大学統合を控え、本学実施が不透明なため計上していません。手数料は、総額では前年度予算同程度の金額を見込んでいます。
 ③ 経常費等補助金
 国庫補助金が、2020年から実施の修学支援制度により、授業料減免補助金が廃止となる見込みで、経常費等補助金の総額で16百万円の減額を見込んでいます。
 ④ 雑収入
 退職金財団交付金等の減少に伴い、前年度予算より35百万円の減額を見込んでいます。
 ⑤ 人件費
 教員人件費は前年度実績額をベースに試算し、前年度予算より8百万円の減額、職員人件費は、12百万円の減額、退職給与引当金繰入額は定年退職による退職金期末要支給額の減少に伴い、52百万円の減額となり、人件費の総額では73百万円の減額を見込んでいます。
 ⑥ 教育研究経費
 学内工事数の減少、留年減免対象学生の減少に伴い、前年度予算より39百万円の減額を見込んでいます。
 ⑦ 管理経費
 大学統合に係る経費の発生に伴い、前年度予算より2百万円の増額を見込んでいます。

[2]教育活動外収支及び経常収支差額

教育活動外収支は、保有有価証券の運用資産分の減少により受取利息・配当金収入が減少しましたが、特定資産について利回りの高い有価証券の銘柄入れ替え実施により、前年度予算と同程度の金額を見込んでいます。
経常収支差額は193百万円と前年度より46百万円の増額を見込んでいます。

[3]特別収支及び基本金組入前当年度収支差額

特別収入は、大型共同機器購入費に係る施設設備補助金等を計上したが、申請金額が前年度予算より減少し、24百万円の減額を見込んでいます。特別支出は図書の除却額を計上し、前年度予算より5百万円の増額を見込んでいます。
予備費は30百万円と前年度より10百万円増額し、基本金組入前当年度収支差額は173百万円と前年度より6百万円の増額を見込んでいます。

[4]まとめ

2020年度予算について、基本金組入前当年度収支差額は173百万円、当年度収支差額はマイナス141百万円を見込んでいます。前年度予算と比較すると、学生生徒等納付金、経常費補助金の収入減も、人件費、教育研究経費の支出減が寄与し、基本金組入前当年度収支差額は6百万円、当年度収支差額は29億4百万円の改善を見込んでいます。資金収支に関しては、翌年度繰越金2,751百万円を見込んでいます。

3.高槻中学校・高等学校

[1]教育活動収支

 ① 学生生徒等納付金
 学年進行による授業料増額改定等により前年度予算より17百万円の増額を見込んでいます。
 ② 手数料
 前年度予算と同程度を見込んでいます。
 ③ 寄付金
 次世代教育推進基金寄付金により、前年度予算より6百万円の増額を見込んでいます。
 ④ 経常費等補助金
 国庫補助金、地方公共団体補助金ともに、前年度予算と同程度を見込んでいます。
 ⑤ 付随事業収入
 前年度予算と同程度を見込んでいます。
 ⑥ 雑収入
 退職金財団交付金は、退職予定者から交付金額を試算し、前年度予算より24百万円の減額を見込んでいます。
 ⑦ 人件費
 教員人件費は23百万円の減額、職員人件費は4百万円の増額を見込んでいます。退職金関連費用を含めた人件費全体では、前年度予算より43百万円の減額を見込んでいます。
 ⑧ 教育研究経費
 本館完成の影響により光熱水費4百万円、減価償却額60百万円の増加を見込んでいます。一方で修繕費や消耗品費などの支出を抑え、全体としては前年度予算より25百万円の増額を見込んでいます。
 ⑨ 管理経費
 創立80周年記念事業費25百万円の計上等により、前年度予算より19百万円の増額を見込んでいます。

[2]教育活動外収支及び経常収支差額

教育活動収支差額は14百万円となり、前年度予算より4百万円の減額を見込んでいます。また、経常収支差額は26百万円となり、前年度予算より1百万円の減額を見込んでいます。

[3]特別収支及び基本金組入前当年度収支差額

特別収支については前年度予算と同程度を見込んでいます。予備費は20百万円とし、基本金組入前当年度収支差額は6百万円を見込んでいます。

[4]まとめ

2020年度予算の基本金組入前当年度収支差額は、前年度予算と同額の6百万円を見込んでいます。本館竣工による減価償却額の増加や、創立80周年記念事業費の計上を見込んでいる一方、その他の費用を全体的に抑制すること、学年進行による授業料増額改定により、前年度予算並みの基本金組入前当年度収支差額を維持しています。
なお、資金収支については、本館建築工事に関する支払いのため、2019年度に続き2020年度も施設設備拡充資産を850百万円取崩す見込みです。また、本館の仕様変更による追加工事費用として、80百万円の施設設備関係支出を見込んでおり、翌年度繰越支払資金については1,268百万円を見込んでいます。

4.法人全体

事業活動収支予算の教育活動収入は53,046百万円、教育活動支出は52,386百万円となり、教育活動収支差額は660百万円を見込んでいます。基本金組入前当年度収支差額は239百万円、基本金を組入れた後の当年度収支差額は、3,011百万円の支出超過となる予算編成です。
なお、資金収支予算は収入の部、支出の部ともに69,821百万円となり翌年度繰越支払資金は13,374百万円を確保する見込みです。