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  3. 2019年度 事業報告

Ⅰ. 活動概況

はじめに

2019年度は、新天皇即位による令和時代の幕開けやラグビーワールドカップ日本代表の躍進などの明るい話題があった一方、「台風19号による豪雨災害(2019年10月)」や「新型コロナウイルス感染症(2020年1月~)」など、国内の経済活動に直接的な影響を与える出来事がありました。このような情勢の中でも、本法人は寄附行為第3条に定めた設置目的を実現するため、引き続き、超少子高齢化やそれによる労働力不足等の外部環境の変化、高大接続改革、医療介護体制の改革、働き方改革等への対応を念頭に置いて、以下の事業活動を行いました。

2. 事業概要

事業計画に基づき、[1]法人(組織体制、施設整備、財政基盤の強化等に関する取り組み)、[2]教育・研究に関する取り組み、[3]医療に関する取り組み を実施しました。

[1]法人(組織体制、施設整備、財政基盤の強化等に関する取り組み)

本法人は、中等教育と高等教育においてそれぞれ次世代を担う良質な人材の養成と医学・薬学・看護学が連携・融和する先進的医療体制の構築・提供を目指し、特色ある学際的教育・研究とチーム医療教育を推進して魅力ある学校づくりを行うとともに、本邦でも最優の特色ある医療系総合大学・学園への発展を目指しております。
また、法人スローガンを『Society5.0の浸透・実践』と定め、政府が提唱する指針である「Society5.0」を意識した活動を展開しました。

(1)組織体制

① 法人合併の更なる深化(組織の強化)
 (1)大学統合の推進
 ・ 大学統合推進委員会をはじめとして、大学統合に向けた各分科会(教育・研究・入試・規則等)の動きが加速しました。
 ・ 大学統合への準備の一環として、法人内教職員及び学生・生徒を対象に、法人シンボルマークの公募を行いました。
 ・大学統合に係る申請(大阪医科大学薬学部設置認可申請)及び寄附行為変更申請を行いました。
 (2)本部機能の強化(法人事務局、法人広報、企画等)
 ・ ガバナンス・コード導入準備及び私立学校法改正に伴う規則等の整理並びに大学統合を見据えた本部機能の検討を行いました。
 (3)ITシステムの統合(情報、人事、財務)による事務の効率化
 ・ 昨年度の財務システム統合や情報部門のサーバ統合に続き、両大学の人事システムサーバを統合のうえ、効率化と省資源化を図りました。
 (4)情報セキュリティ対策への取り組み
 ・ 法人施設への統合サイバーセキュリティ対策を強化しました。また、情報システム監査導入に向けた検討を始めました。
② 人事
 (1)新人事制度の具体化
 ・2020年4月以降の新規入職者に適用するため、各事業所の給与規則を改正しました(各種手当の変更)。
 ・ 2021年4月から全教職員に適用予定の各種手当や在職職員(教員を除く)に係る各事業所の職員等級・役職、給与(俸給表、各種手当)の検討を進めました。
 (2)働き方改革の推進
 ・教職員の時間外労働短縮として、主に職員の時間外労働の削減に取り組みました。
 ・ 勤怠管理システムを改修した結果、打刻機能が改善し、所属長を含めた組織的な管理による、個々人の働き方への意識付けにつながりました。
 ・ タスク・シフティング、タスク・シェアリングにより、医師の時間外労働を削減し、超過勤務を削減しました。また、産業医による超過勤務者を対象とした面談を開始しました。
 ・法に基づき、全教職員年5日以上の年次有給休暇の取得を行いました。
 (3)ダイバーシティへの取り組み
 ・障がい者雇用促進チームとして「Fuchsia(フクシア)」を法人内に開所しました。
 ・ 女性医師支援として、短時間勤務制度及び育児短時間勤務制度をはじめとした支援制度の拡充、医師と学生による交流会の開催や各種媒体による周知により、キャリア支援活動を進めました。また、女性医師支援センター開設1周年記念講演会を開催しました。
 ・ 教職員向けに、公益社団法人全国保育サービス協会が実施している「ベビーシッター派遣事業割引券」の利用を開始しました。

(2)施設整備

① 病院新本館建築事業(基本設計から実施設計へ)
 ・基本設計(2019年6月)、実施設計(2020年3月)を完了し、行政機関等へ各種申請を行いました。
 ・ 病院新本館建築プロジェクト推進会議及び病院新本館建築委員会において、スーパースマートホスピタルの実現に向けた検討を重ねました。
 ・臨床講堂棟・病院5号館・共同利用会館を解体し、病院新本館A棟建築用地を確保しました。
 ・エネルギーセンターの設置決定及び大阪府三島救命救急センターの移設準備・検討を行いました。
 ・ 大阪医科大学創立100周年記念事業に向けた機運を醸成するため、学内・院内装飾(フラッグ設置、ポスター設置等)を行いました。
② その他
 ・薬学部キャンパス整備構想として、大阪薬科大学の移転候補地を安満地区に確保しました。
 ・ さわらぎキャンパス・クラブハウス改築工事について、基本設計が完了し、実施設計に向けた各種協議を進めました。
 ・高槻中学校・高槻高等学校校舎改築第Ⅲ期工事が竣工し、一連のキャンパス整備が概ね完了しました。
 ・看護師マンションの借上契約を締結しました。
 ・弁天駐車場に代わる代替施設確保を行いました。

(3)財政基盤の強化

 ・病院医療事業の強化を行いました。
 ・外部資金獲得の支援強化を行いました。
 ・ 大阪医科大学創立100周年記念事業募金(2019年度:1.1億円)及び高槻中学校・高槻高等学校 次世代教育推進基金(2019年度:1,400万円)の寄付金募集活動を推進しました(2019年度:募金実績総額:約8.6億円)。
 ・ 支出の抑制(各種保守契約等の見直しによる経常費の効果的配分等)を目的に、大学病院の収入増加・支出削減検討会議を立ち上げました。

(4)その他

② 新型コロナウイルス感染症対応
 ・ 新型コロナウイルス感染症対応本部(法人)や病院新型コロナウイルス感染症対策本部(病院)を早期に設置し、同感染症の拡大防止に積極的に取り組み、受診者・患者の皆様をはじめとしたステークホルダー(生徒・学生・教職員等)の安全と安心の確保に努めました。また、感染症への対策方針を定め、疑義症患者に対する対応などを周知徹底しました。このほか、学内における学会・研修会等のイベント中止や全学休校・臨時休校、時差・
時短・在宅勤務による教職員同士の感染リスクの低減なども行いました。
③ 研究不正防止の対応強化
 ・ 2019年5月に発生した再生医療に関する研究不正事例を受けて、全部門でのコンプライアンス教育の再徹底、研究部門での関係規則等の改正並びに委員会発足などの体制整備を行いました。
④ 周年事業
 ・ 健康科学クリニックが開設10周年を迎え、更なる採算の向上を図るべく、各健康保険組合への契約促進、オプション検査項目の単価改定等に取り組みました。

[2]教育・研究への取り組み

(1)大学統合の推進

 ・ 大学統合の分科会において、学則、学部規程、カリキュラム(多職種連携教育含む)をはじめ、入試、広報、情報公開等の検討を行いました。
 ・新入生合宿をはじめとした合同実施の行事について、統一化を検討しました。
 ・ 大学統合推進委員会を設置し、大学統合後のスクールカラー、学旗、学歌、Webサイト、受験者募集サイト等の検討を開始しました。

(2)教職協働

 ・ 2020年度受審の大学機関別認証評価において、各基準に照らした評価項目の点検が教職協働の下に行われました(大阪医科大学)。
 ・ 大阪医科大学の各学部・研究科の教育・研究の質向上を確実に図り、教学に関する諸活動を第三者的視点で客観的に検証する委員会組織として「教学点検・評価委員会」を設置しました。

(3)高大接続改革への持続的な対応(高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革)

 ・ 高槻中学校・高槻高等学校では、高大接続改革及び新学習指導要領に対応した新しい教育内容の実践として、引き続きアクティブ・ラーニングの推進を図りました。また、2021年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストに向けた取り組みを進めました。

(4)研究の活性化と外部資金の獲得

 ・「 私立大学等改革総合支援事業(文部科学省)」において、大阪医科大学では申請した4つのタイプすべてが、大阪薬科大学では2つのタイプ(タイプ1・3)が採択されました。
 ・ 科学研究費補助金申請支援の一環としてコーディネーターによる添削支援を実施し、64名(昨年46名)の内定者がありました。
 ・ 医工連携事業化推進事業(開発・事業化事業)やAMEDの公募での新規BNCT治療システムに係る新規採択やその他継続採択がされるなど、外部資金の獲得につなげました。
 ・文部科学省等の指針やガイドラインを遵守した体制・運用の更なる強化に努めました。

(5)教員評価制度の実施(大阪医科大学)

 ・ 昨年度に引き続き、今年度も実施調査を行いました。引き続き、評価シートのデータを精査・蓄積のうえ、活用方法等について検討します。

(6)情報リテラシー教育の徹底

 ・e-learningを用いて情報セキュリティ研修を実施し、理解を深めました。

(7)実践に基づく多職種連携教育の強化

 ・ 多職種連携教育の一環として、引き続き、医学部、看護学部、薬学部の学生を対象とした高知県での地域連携協定4期目(2020年4月1日~ 2022年3月31日)に向けて、協議を重ねました。

(8)医学教育の充実(大阪医科大学)

 ・第114回医師国家試験については、新卒者及び既卒者ともに合格率は100%で、全国第1位の結果となりました。
 ・クリニカルクラークシップを強化しました。
 ・「 THE世界大学ランキング日本版2020」の「教育リソース」分野において、全国第19位(近畿エリア私立大学第2位)にランクインしました。
 ・文部科学省より、高等教育の修学支援新制度の対象校に認定されました。
 ・ JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)の日本・アジア青少年サイエンス交流事業「さくらサイエンスプラン」に採択されました。
 ・ 2020年度からの単位互換実施に向け、関西医科大学医学部並びに国立台湾大学医学部との単位互換協定を締結しました。
 ・北京大学附属深圳病院と協定を締結しました。
 ・大学機関別認証評価の受審準備を行いました。
 ・ 大学院医学研究科医科学専攻(修士課程)の設置(2020年4月)を目指し、申請の結果、設置が認められました。「医療科学コース」と「社会健康医療学コース」の2コースで構成され、「医学・医療の知識・研究法の現場での活用力」と「多様なキャリアパスを切り拓く能力」を修得する機会を提供します。
 ・ カリキュラム・ポリシー(教育課程編成の方針)と連動し、各科目レベルと学位授与方針との連関性を明確にするために「科目ナンバリング」システムの導入準備を行いました。
 ・ 教学に関する点検・評価を行う際の方針や具体的な項目としてアセスメント・ポリシー(学修成果の把握に関する方針)を定めました。
 ・ 学生による授業評価アンケート、第5学年ポートフォリオ、卒業生アンケート、GPA(Grade Point Average)分布について公開しました。

(9)薬学教育の充実(大阪薬科大学)

 ・大学統合後に導入する新カリキュラムを策定しました。
 ・ 社会人大学院生の積極的な受入れを目的とし、夜間・休日開講の特例と長期履修制度を設け、薬科学専攻博士後期課程への入学者に対し、土曜日授業を開始しました。
 ・ 薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応した実務実習が開始されたことに伴い、薬局、病院との連携を強化し、円滑に実習が行える体制を確立しました。
 ・薬剤師認定制度認証機構の生涯研修プロバイダー認証取得に向け、規程整備等の準備を進めました。
 ・ 第105回薬剤師国家試験については、新卒者のみの合格率は90.1%、既卒者等を含めた合格率は82.8%という結果となりました。

(10)看護学教育の充実(大阪医科大学)

 ・ 第109回看護師国家試験、第106回保健師国家試験並びに第103回助産師国家試験について、いずれも新卒者及び既卒者の合格率が100%で、全国第1位の結果となりました。
 ・ 国際交流の推進として、海外の大学(山西医科大学、台北医学大学)からの研修生を引き続き受入れ、活発な交流を図りました。
 ・障がいのある学生に対する支援委員会を立ち上げ、実習中の合理的配慮を行う体制を確立しました。
 ・医学部と同様に「科目ナンバリング」システムの導入準備を行いました。
 ・ 教学に関する点検・評価を行う際の方針や具体的な項目としてアセスメント・ポリシー(学修成果の把握に関する方針)を定めました。

(11)中等教育の充実(高槻中学校・高槻高等学校)

 ・ 教育力の強化として、大阪医科大学・大阪薬科大学をはじめ、京都大学・大阪大学・大阪工業大学等との高大連携・接続の推進を図りました。
 ・ 高大接続改革及び新学習指導要領に対応した新しい教育内容の実践として、昨年度に引き続き、アクティブ・ラーニングの推進を図りました。
 ・ SSH事業(第2期指定:2019年度から5年間)・SGH事業(4年目)ともに、全校体制で事業の推進と成果の普及に努めました。

(12)小児高次脳機能研究所の充実によるLDセンター事業の強化

 ・既存建物の老朽化等により、移転しました。
 ・一般向け・指導者向けの講演会及び講習会、保護者向け学習会を開催しました。

(13)BNCT共同臨床研究所の活性化によるBNCT医療の実用化推進

 ・ BNCTは医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律により承認が見込まれており、2020年6月には保険収載の予定です。
 ・BNCTの臨床的発展の基礎となるFBPA-PETによる特定臨床研究を開始しました。
 ・加速器BNCTによる悪性再発髄膜腫の医師主導治験を開始して1年が経過し順調に進行しています。
 ・ FDG-PET検査は、大阪医科大学病院及び連携機関との活発な診療連携により地域に浸透しています。

(14)保健学部(仮称:各種医療系技師及び事務職員等の育成)設置についての検討

 ・保健学部設置に関する情報収集を行いました。

[3]医療に関する取り組み

(1)超スマート医療への挑戦

 ・ スーパースマートホスピタルの実現に向けた医療情報システムの整備(サイバーセキュリティの確保含む)の準備を行いました。
 ・ スーパースマートホスピタルの実現に向けたコンペティションを実施した結果、病院全体の運用に係る自由な視点によるアイデアが数多く寄せられました。
 ・ がん医療総合センターの強化として、地域がん診療連携拠点病院(高度型)※の指定を受けました。
 ※ 高度な放射線治療の実施が可能で、同一医療圏のうち診療実績が最も優れ、相談支援センターへの医療従事者の配置や緩和ケアセンターを整備して医療安全に関する取り組み等の条件を満たし、診療機能が高いと判断された場合に同一医療圏に1か所のみ指定される。
 ・ がんゲノム医療連携病院の機能強化策として、三島医療圏における遺伝子パネル検査を希望する患者のために、引き続き、がんゲノム医療拠点病院の指定を目指して活動しました。
 ・ 患者満足度の高い医療(先進医療、個別化医療、再生医療、地域包括医療)を実現するため、ゲノム解析による個別に最適な治療法の実施に努めました。
 ・遠隔診療の検討を開始しました。
 ・ 健康科学クリニックにおける予防医学の実践を推進(健康寿命の延伸、生活習慣病患者の減少)するため、健康科学クリニックでの特定保健指導(メタボ指導、フォローアップ等)の取扱いに向けて関係機関と協議を行いました。また、特定保健指導を9月に開始し、12月には月間100件前後の実施となりました。

(2)安全で質の高い医療の実践

 ・ 安全管理体制の永続性を確保するため、医療安全管理及び感染対策の推進と医療の質向上を図ることを目的に医療総合管理部を設置し、医療安全推進室、感染対策室、クオリティ・インディケーター(医療の質〔QI〕)管理室、診療情報管理室を置く管理体制の変更を行いました。
 ・ 良識のある人間性豊かな医療人を育成するため、医師としての人格を涵養し、専門分野に関わらず医学及び医療の果たす社会的役割を認識しつつ高い診療能力の習得とチーム医療を実践できるように努めています。
 ・ 医師・薬剤師・看護師などのチーム医療の実践として、多職種の職員によるカンファレンス及びミーティングを行い、連携を密にすることで患者さんが診療を円滑に受けられるように努めています。
 ・ 患者満足度向上へ向けた取り組みの実践として、患者さんの待ち時間のうち、ご意見の多かった会計待ち時間の短縮について重点的に進めています。
 ・ タスク・シフティングの推進として、医師の事務作業を補助する人員やケアアシスタントを増やすことによって、医師の事務作業負荷の軽減及び診療の効率化に努めています。
 ・ 保険診療指標モニタリング体制を強化するため、適時調査や特定共同指導の対象となる施設基準等のモニタリングを行い、改善につながる評価・検証を行うことを目的とした体制強化を図りました。

(3)特定機能病院の体制強化

 ・ 開設者、管理者に求められるガバナンス体制の強化として、特定機能病院における高度な医療安全管理体制の確保、管理者による病院の管理運営権限の保持、開設者による管理者の選任及び管理者が医療安全管理等を適切に行うことを担保するための体制確保の責任を負うことに関する医療法上の改正に従って規程の改正を行い、ガバナンス体制の強化に対応しました。
 ・ 高度医療の開発と安全な提供体制の強化として、高難度新規医療技術についての実施適否を判断する部門を設置し、高難度新規医療技術評価委員会の意見を踏まえて実施の適否を決定するなどの体制強化を行いました。
 ・ 病院機能評価を更新(当初2020年6月受審予定が新型コロナウイルス感染症の影響により、2021年6月に延期)するため、病院機能評価推進本部会議を設置して準備を進めました。

(4)ケアミックス病院としての機能強化~三島南病院の充実を図る~

・大阪府難病医療協力病院の指定を受けました。

(5)地域医療連携ネットワークの推進

 ・三島医療圏地域包括ケアシステムの推進として、地域の医療機関との連携を積極的に行いました。
 ・ 三島南病院、地域医療包括センター、健康科学クリニック、関西BNCT共同医療センターを一体化するため、附設医療施設相互の連携を強化し、予防、急性期、高度な医療の提供、回復期の支援まで一貫した地域医療連携を進めています。
 ・ 地域医療機関との連携強化として、地域の医療機関と連携し患者さんの紹介を受けて特定機能病院としての高度な医療を提供するとともに、かかりつけ医へ逆紹介することによる医療資源の有効な活用に貢献できるよう努めています。

3.主な財政支出事業

2019年度に財政支出を伴った主な事業は、以下のとおりです。

(1)建物

・病院新本館建築に係る土壌調査
・仮設厨房ほか建物取壊しに係る移設
・看護師寮(雄ビル北園町)購入
・高槻中学校・高槻高等学校 校舎改築第Ⅲ期工事

(2)高額医療機器

・磁気共鳴画像撮影装置
・全身用X線CT診断装置
・重症系(オペ・ICU/NICU)システム更改
・全自動錠剤分包機、錠剤一包化装置
・手術顕微鏡
・超音波検査装置

(3)教育研究用機器備品関係

・研究費管理システム更改
・新講義実習棟PC端末更改
・教務システム-第1期-ポートフォリオ等改修
・小動物インビボイメージングシステム

(4)情報システム

・本院無線LANシステム更改(電子カルテ)
・情報通信機器用無停電電源装置(UPS)更改
・三島南病院ネットワークシステム更改(電子カルテ)
・情報分析基盤システムサーバ及びQlikView使用ライセンス更改

Ⅱ.財務の概要(2019年度決算の概要)

1.法人全体の決算概要

2019年度、大阪医科大学では6月より病院5号館と臨床講堂棟、共同利用会館の取壊しと土壌汚染調査が始まり、病院新本館建築プロジェクトが計画段階から実行段階へと移行しました。大阪薬科大学では、新キャンパス用地(仮称:安満キャンパス)の確保が完了しました。高槻中学校・高槻高等学校では校舎建て替えの第Ⅲ期工事が完了し、既存校舎にある旧職員室の教室転用工事を残すのみとなりました。このように、各学校の計画は順調に進んでいます。
事業活動収支においては、医療収入の大幅な増加により教育活動収入が506億円と前年度より約16億円増加しました。教育活動支出は、人件費の増加や医療収入の増加に伴う医療材料費の増加はあったものの、修繕費の減少や高槻中学校・高槻高等学校の建物等撤去費がなくなったことにより492億円と前年度より約12億円の増加に留まりました。教育活動収支差額は、14億円と前年度より約3億円増益となりました。特別収支差額は、大阪薬科大学の有価証券売却差額が1億円増加したことに加え、前年計上した高槻中学校・高槻高等学校の建物や大阪医科大学の電話交換機の除却損及び適時調査による過年度修正損がなくなったことにより2億円と前年度より約5億円の増益となりました。その結果、基本金組入前当年度収支差額は16億円と前年度より約8億円の増益となりました。
資金収支においては、大阪薬科大学で安満キャンパス(仮称)用地を購入したこと、高槻中学校・高槻高等学校で第Ⅲ期工事が完了したこと、大阪医科大学で2物件を取得したことと病院新本館建築工事に先行して仮設厨房等を完成させたこと等により、施設関係支出が58億円と前年度より約41億円増加しました。設備関係支出では関西BNCT共同医療センターの機器類の投資がなくなったことから、支出が17億円に留まり、前年度より約24億円減少しました。翌年度繰越支払資金は、前年より約34億円減少しましたが129億円の残高を維持しています。
貸借対照表においては、安満キャンパス(仮称)用地購入等により有形固定資産が前年より約36億円増加するとともに固定負債と流動負債が合計で前年度より25億円減少し、特定資産が約11億円、現金預金が約34億円、前年度より減少しました。純資産の部は、前年度より16億円増加し約779億円となりました。

2019年度 事業活動収支計算書(前年対比) 【法人全体】
(単位:百万円)

2019年度 資金収支計算書(前年対比) 【法人全体】

(単位:百万円)

2019年度 貸借対照表(前年対比) 【法人全体】

(単位:百万円)

2.大阪医科大学の事業活動収支計算書

(1)教育活動収支

① 学生生徒等納付金
入学金の減少により、前年度より6百万円減少しました。
② 手数料
試験料の減少により、前年度より18百万円減少しました。
③ 寄付金
特別寄付金の増加により、前年度より46百万円増加しました。
④ 経常費等補助金
私立大学等改革総合支援事業(タイプ1、2、3、4)すべての採択を受けた上に大阪府救急患者受入体制強化事業補助を受けたものの、経常費補助金の一般補助金の圧縮率※の悪化等により、前年度より6百万円減少しました。
※圧縮率:補助金計算額の総額を国の予算額に収めるためのもの
⑤ 付随事業収入
受託事業の減少により、前年度より63百万円減少しました。
⑥ 医療収入
大学病院、三島南病院、健康科学クリニックほか全施設で前年度より収入が増加し、約17億円の増加となりました。特に大学病院の医療収入は、前年度より約15億円増加しました。
⑦ 雑収入
退職金財団交付金の減少により、前年度より93百万円減少しました。
⑧ 人件費
教員人件費と職員人件費の増加により、前年度より280百万円増加しました。
⑨ 教育研究経費
医療材料費、委託費、減価償却額の増加により、前年度より約12億円増加しました。
⑩ 管理経費
修繕費、委託費、広告費の減少により、前年度より69百万円減少しました。
⑪ 教育活動収支差額
教育活動収入が増加するものの教育活動支出も増加したことから、前年度より145百万円多い628百万円となりました。

(2)教育活動外収支差額

受取利息・配当金の増加と借入金等利息の減少により、前年度より11百万円改善しました。

(3)特別収支差額

卒業生から不動産の現物寄付を頂いたこと、前年度計上した電話交換機の廃棄及び近畿厚生局の適時調査による返還金がなくなった結果、前年度より約3億円増加しました。

(4)基本金組入前当年度収支差額

前年度より466百万円増加し、666百万円となりました。

2019年度 事業活動収支計算書(前年対比) 【大阪医科大学】

(単位:百万円)

3.大阪薬科大学の事業活動収支計算書

(1)教育活動収支

① 学生生徒等納付金
学生数の減少により、前年度より45百万円減少しました。
② 寄付金
特別・一般寄付金がともに減少し、前年度より27百万円減少しました。
③ 経常費等補助金
私立大学等改革総合支援事業(タイプ1、3)の採択により、前年度より63百万円増加しました。
④ 付随事業収入
受託事業及び公開講座の増加により、前年度より1百万円増加しました。
⑤ 雑収入
台風被害に伴う保険金収入75百万円の減少により、前年度より20百万円減少しました。
⑥ 人件費
退職給与引当金繰入額の増加、教員人件費、職員人件費の増加により、前年度より180百万円増加しました。
⑦ 教育研究経費
昨年の台風被害に伴う修繕費の減少により、前年度より108百万円減少しました。
⑧ 管理経費
委託費の増加及び広告費の増加により、前年度より12百万円増加しました。
⑨ 教育活動収支差額
教育活動収入は減少しましたが、教育活動支出も減少したことから、前年度より24百万円多い625百万円となりました。

(2)教育活動外収支差額

保有有価証券の減少による受取利息・配当金の減少により、前年度より10百万円減少しました。

(3)特別収支差額

特別収入は、有価証券売却益の増加により、前年度より34百万円増加しました。特別支出は図書除却の減少により、前年度より6百万円減少した結果、特別収支差額は前年度より40百万円増加しました。

(4)基本金組入前当年度収支差額

前年度より53百万円増加し、797百万円となりました。

2019年度 事業活動収支計算書(前年対比) 【大阪薬科大学】

(単位:百万円)

4.高槻中学校・高等学校の決算概要

(1)教育活動収支

① 学生生徒等納付金
授業料増額改定の学年進行による授業料増加や入学金の増加により、前年度より17百万円増加しました。
② 手数料
入学検定料の増加により、前年度より2百万円増加しました。
③ 寄付金
次世代教育推進基金の募集開始により、前年度より14百万円増加しました。
④ 経常費等補助金
大阪府経常費補助金の増加により、前年度より4百万円増加しました。
⑤ 付随事業収入
特別講義実施による収入増加により、前年度より2百万円増加しました。
⑥ 雑収入
退職金財団交付金の増加により、前年度より22百万円増加しました。
⑦ 人件費
教員人件費の増加、退職金の増加により、前年度より43百万円増加しました。
⑧ 教育研究経費
校舎改築工事による建物等撤去費や修繕費の減少により、前年度より137百万円減少しました。
⑨ 管理経費
大きな増減はなく、前年度並みとなりました。
⑩ 教育活動収支差額
教育活動収入が61百万円増加、教育活動支出が94百万円減少したことから、前年度より155百万円増加しました。

(2)教育活動外収支差額

受取利息・配当金の増加により、前年度より2百万円増加しました。

(3)特別収支差額

校舎取壊しによる資産処分差額の減少により、151百万円改善しました。

(4)基本金組入前当年度収支差額

前年度より308百万円増加し、128百万円となりました。

2019年度 事業活動収支計算書(前年対比) 【高槻中学校・高等学校】

(単位:百万円)

事業活動収入と事業活動支出の推移 (単位:百万円)

年度 事業活動収入 事業活動支出 収支差額
2015 40,793 37,829 2,963
2016 46,684 43,672 3,012
2017 47,767 45,302 2,465
2018 49,371 48,590 780
2019 51,008 49,389 1,619

事業活動支出の内訳 (単位:百万円)

年度 人件費 教育研究経費 管理経費 その他
2015 18,832 16,362 2,407 227
2016 21,873 19,013 2,496 288
2017 22,334 20,120 2,378 469
2018 23,323 22,139 2,405 722
2019 23,827 23,063 2,348 151


人件費及び委託費 (単位:百万円)

年度 人件費 委託費
2015  18,832  3,301
2016  21,873  3,663
2017  22,334  3,986
2018  23,323  4,424
2019 23,827 4,616


施設・設備投資額 (単位:百万円)

年度 施設関係支出 設備関係支出
2015  5,559  3,161
2016  3,343  1,338
2017  2,685  3,639
2018  1,660  4,092
2019 5,806 1,651

 

運用資産と借入金 (単位:百万円)

年度 現預金 特定資産 有価証券 借入金
2015 7,346 15,420 11 4,695
2016 14,601 18,419 3,088 5,358
2017 19,758 20,604 1,367 9,329
2018 16,366 22,730 562 8,435
2019 12,948 21,653 719 7,559


純資産 (単位:百万円)

年度 純資産
2015 42,668
2016 73,073
2017 75,538
2018 76,319
2019 77,938