活動事例紹介

自己組織置換型半月板scaffoldの開発を通して
教育活動と社会貢献を考える

変形性膝関節症は半月板が変性しコラーゲン構造が破綻することで衝撃吸収や膝安定性を失い進行すると言われており、半月板を早期に治療することが膝OA進行予防につながると考えられます。そこで我々は縫合不能な半月板損傷に対して自己組織置換型半月板(scaffold)の開発を2014年からグンゼと共同研究を開始し、科研費、日本医療研究開発機構 (AMED)から研究費を獲得しました。大動物を用いた研究を経て、本学臨床研究センター、リハビリテーション科、中央放射線部のご協力もあり、2021年から開始した探索的治験にて安全性及び治療効果を検討し、無事に終了することができました。現在、医薬品医療機器総合機構 (PMDA)との会議を重ね、全国検証的治験へ進む準備段階に突入しており、あと少しで全国治験、そして日本初の半月板scaffoldを臨床応用できると確信しています。半月板scaffoldを併用した大阪医科薬科大学式関節温存手術を世界へ発信することを大目標として掲げ、本学の特徴として広く知れ渡るような研究を成熟させていきたいです。
近年では、半月板再生に興味ある医学部大学生も研究見学から参加までしてくれるようになり学生の研究熱も感じております。若いアイデアも積極的に取り入れ、半月板の研究のみならず、軟骨scaffoldの開発研究にも取り組み研究活動を拡大予定です。健康寿命延伸やQOL向上を目的とした、社会貢献・SDGs共創事業につながる研究がたくさんあります。民間企業、関西大学など産学、学学で連携をしながら、社会貢献に通じる共同研究のアイデアを発信していきます。

 

半月板scaffold

移植時の関節鏡写真

移植1年後(自己組織に置換)

大学生と大学院生が共同で実験している様子