活動事例紹介

医療系学生のためのプライマリ・ケア勉強会と「地域診断」活動の紹介
~ " 病気"だけではなく "人" も 診ることのできる医療者になるために~
【大阪医科薬科大学プライマリ・ケア勉強会「PISCO」】

 

PISCOはプライマリ・ケアに興味のある学生を中心に同大学病院 総合診療科の鈴木富雄先生、三澤美和先生のご協力のもと2017年12月より活動を開始しました。書籍「新・総合診療医学 診療所総合診療医学編」を参考に学生がテーマを設定し、これまで44回もの勉強会を実施しています。新型コロナウイルスの流行に伴いZoomを使用したオンラインでの開催を余儀なくされましたが、対面では参加の難しかった全国医療系学生との交流や、遠方の先生方をお招きすることができるなど、より多様な学びを経験する貴重な 勉強会を実施することができました。私たちはこうした勉強会を通じて、「病気」だけではなく「人」も診ることのできる医療者を目指しています。

 

PISCOの活動全体像

 

私達が学んでいる大阪医科薬科大学は、大阪北部に位置する高槻市にあります。高槻市は人口35万人、病院・医科歯科診療所の数は509にも上る中核市 です。その中でPISCO有志メンバーによる健康指標の特徴や課題を知るための活動である「地域診断」をご紹介します。

PISCOの勉強会を通じて、地域に対して様々な立場から多様なアプローチができる「地域志向性アプローチ」に興味をもった学生が、"高槻市の医学生" という立場で健康課題や特徴を知りたい、という思いから「地域診断」に注目し、学生だからこそできる介入方法を模索しつつ、同時に、健康のことについて市民と対話する機会を構築することを目標に活動を始めました。  
まず、①市の健康指標に関する特徴、②ワクチン接種率などの予防医療、③健康増進に関する取り組み という3つの課題を明らかにすることを目的として調査しました。  
この調査結果から、高槻市は健康指標や医療アクセス性に関して比較的優れている一方、子どもの定期接種ワクチン接種率については案内通知が行われているにも関わらず大阪府下の他市町村と同様に対象年齢の高いワクチンほど接種率が低いことがわかりました。  
これらの特徴より、高槻市が健康指標に関して優れている背景には、独自の政策や取り組みがあるのか、市の案内通知が市民のワクチン接種行動にどの程度の影響を与えるのか、その他の視点から みて高槻市の特徴はあるか等の疑問点が挙がり、更なる調査を進めています。   
残念ながら新型コロナウイルス感染症の影響により聞き取り調査等の活動を制限せざるを得ない状況でしたがです が、調査結果はプライマリ・ケア学会学術総会にて発表しました。  
普段PISCOで行っている学びの中で疑問に 思ったこと、興味を持ったことに対して考え 、" 行動"に移すことが出来る、 "少しでも社会に貢献できる"人材が増えていくことを願って今後も活動を続けていきます。

 

地域診断域診断における調査方法

PISCO勉強会の資料事例(その1)

PISCO勉強会の資料事例(その2)