活動事例紹介

調和型都市水循環の基礎となる高度水利用システムに向けた水質研究【薬学部】

安全な水資源の保全と安定的な供給は、私たちの生活に欠かすことの出来ないものであります。一方で、産業の発展や都市化の進行、そして地球温暖化など気候変動による海面上昇や降雨量の変動に伴う洪水や水源枯渇化の発生などにより、世界的な水質汚染や水不足が進行しています。
20世紀に急速に発達した現代の水利用では、飲料水源からの大量取水と捨てることを前提とした排水処理が行われてきてきました。このような水利用は、河川水量の減少や都市排水の集中、水供給や下水処理における莫大なエネルギー使用、そして水道水源や水環境での環境汚染物質によるヒトの健康や生態系への影響の懸念等、様々な課題を抱えています。

高感度・高選択性を有するUPLC-MS/MSを用いた残留医薬品成分の測定

これらの問題に対応し、安全・安心な都市用水を持続的に確保するためには、河川や湖沼、ダムに加えて、水資源としての雨水、地下水、都市排水を高度処理した再生水の利用可能性についての評価を行うとともに、需要と供給の調和がとれた高度な都市水循環システムを構築することが重要となります。 私たちは、行政や地方公共団体と協力して、水環境中における残留医薬品成分や抗菌薬に耐性を有する病原性微生物の実態及び環境動態の解明と、除去又は不活化に有効となる対策技術の開発研究を行ってきました。これまでの研究によりに得られた成果は、米国環境保護庁や英国の著名な研究者が執筆する専門書で紹介されるとともに、本研究に続く研究が国内外で開始されており、専門家にとどまらず社会の幅広い方々にも活用いただいています。現在、科学研究費をはじめ、日本医療研究開発機構(AMED)や厚生労働省、農林水産省、科学技術振興機構(JST)の支援を受けて、公共用水域の水質向上と、水環境への汚濁負荷低減と省エネルギー化を両立させる都市水循環システムの構築に向けた研究を進めています。流域での水質管理や広域における安全保障として社会貢献が出来るように取り組んでいます。

連携:国立感染症研究所、京都大学、相愛大学、酪農学園大学、大阪大学、福島県立医科大学、国立国際医療研究センター、東北大学、大阪健康安全基盤研究所、農業・食品産業技術総合研究機構、三菱電機(株)

我が国における薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン
(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター)

調和型都市水循環の基礎となる高度水利用システムに向けた水質研究