活動事例紹介

栄養部が実践する「健康関連アウトリーチ」活動

栄養部の管理栄養士は、様々な疾患に対する栄養食事指導を行っています。特に生活習慣病は、日々の食事療法が治療の一環になります。しかし、「食事療法が大切と分かってはいるものの、実践し継続することが難しい」と悩む患者さんを多く目にします。そのような患者さんの治療支援を目的として、2019年以降、外来患者さんを対象とした料理教室を開催しています。2022年は「第3回わくわく料理教室」を開催し、患者さんとそのご家族、合わせて15名が参加されました。
今回の料理教室のテーマは「減塩」でした。日本人の食塩摂取量(1日あたり男性10.9g、女性9.3g:令和元年国民健康・栄養調査)は、以前に比べると減少傾向ではあるものの、男女ともに目標量(成人1日あたり男性7.5g、女性6.5g:日本人の食事摂取基準2020年版)を大きく上回っています。また、高血圧及び慢性腎臓病(CKD)の重症化予防のためには、男女とも6.0g/日未満とされており、減塩は高血圧症や腎臓病を治療中の方にとっても取り組むべき大切な食事療法となっています。
今回の料理教室では、「家庭でも美味しく簡単にできる減塩のコツ」を管理栄養士が、そして「調理の工夫」を調理師が説明しました。患者さんと共に調理作業をすることで、食事療法についての悩みなど、その場で最適な指導をすることができました。また、患者さんのご家族にも参加していただくことで、患者さんが孤立することなく、参加者全員が和気あいあいとした雰囲気の中で楽しく知識を身につけるサポートができました。後日の外来受診の際、「料理教室で学んだ減塩の方法を家庭でも実践しています」とのお声もいただき、料理教室が患者さんの日々の食事療法に繋がっていることを実感しています。
この料理教室では、将来、管理栄養士を目指す学生にもボランティアとして参加していただきました。患者さんがどのような悩みを持っているのか、また管理栄養士がどのような指導をするのかなど、栄養指導の実際を知ることができる場にもなりました。
次回の料理教室は、肝疾患センターとの協同開催を計画しています。栄養部では今後も、患者さんの治療を支援する多様な取り組みを積極的に企画し、健康寿命の延伸に繋げていきます。 

 

第3回料理教室「お膳」

第3回料理教室「料理中の光景」

第3回料理教室「料理教室の雰囲気」