大阪医科薬科大学 サステナビリティ活動 2021
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出生前検査・診断を受ける妊婦と家族への継続支援~クローズアップされる出生前検査・診断~【病院看護部】看護専門看護師(リエゾンナース)が担当することになりました。その外来では、児を亡くした辛さだけでなく、児に何らかの問題が判明してからの意思決定に対する後悔(十分に考えることができなかった等)が語られました。また、児をなくしたからではなく、出生前検査・診断の時点での関わりが必要だと感じ、「胎児ハイリスク外来」で医師の診察に同席しました。この外来では、母親は出生前検査・診断を受けたことが命の選別をしてしまったという強い罪責感を持っており、結果にかかわらず出生前検査・診断がトラウマといえるほどの体験になっているようです。このような母親を孤立させないような伴走者としてのケアが必要だと考え、妊娠中だけでなく、出産後、そして次の妊娠に至るまでの継続的な「家族計画」に対するケアと支援を多職種で連携しています。■出生前検査・診断を受ける母親とご家族への 継続支援のさらなる発展を目指して このような活動を行う中で、今後ますます発展することが予測される出生前検査・診断が、当事者である妊婦・胎児に苦痛とならないようなケアを確立していく必要があると考えます。病院看護部が取り組む本活動が今後、さらなる社会貢献に繋がることを目指しています。  近年、女性の社会進出に伴い晩婚化、晩産化となっていること、また、生殖医療や超音波検査をはじめとした検査技術の向上、ゲノム解析技術の発展によって、出生前検査・診断への関心が高まっています。特に、母体血を用いた無侵襲的出生前遺伝学的検査(Non-invasiveprenatal genetictesting:NIPT)が、2013年4月に臨床研究として開始されたことは、妊婦にとって出生前検査・診断がより身近になったと言えます。出生前検査・診断は、児に何らかの問題が判明した場合、治療・ケアの準備ができるという側面もありますが、限りある時間の中で次々と意思決定が求められることになり、妊娠22週未満であれば人工妊娠中絶の選択を考えるという苦痛を伴う面など、様々な側面があります。■当院における出生前検査・診断とリエゾン精神 看護専門看護師の連携 当院の産科は、地域周産期母子医療センターとしての役割を担っており、また、出生前ベビードックを実施していることから、児に何らかの問題が生じている可能性がある妊婦に対して、さらなる検査(羊水検査等)を行うなどの管理を行っています。児の状態によって、流死産・早期新生児死亡、あるいは人工妊娠中絶の選択をすることになり、母親にとっては、非常に辛い体験になります。まずは産科医の希望でこのような体験をした母親や家族のための外来を開設し、リエゾン精神『FRaU(フラウ)』公式WEBサイトNHKハートネットTV481SDG2SDG4SDG5SDG6SDG7SDG8SDG10SDG11SDG12SDG13SDG14SDG15SDG16SDG3SDG9SDG17SDG

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