大阪医科薬科大学 サステナビリティ活動 2021
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BNCT用加速器BNCT治療室正常細胞がん細胞中性子②がん細胞がホウ素薬剤を取込む①点滴でホウ素薬剤を投与③熱外中性子線を照射④がん細胞内でホウ素と中性子 の核反応で放射線が発生⑤がん細胞を高い選択性で破壊ホウ素薬剤~がん診療領域での近未来の本格展開を目指して~【関西BNCT共同医療センター】BNCT■診療領域のさらなる拡大を目指す挑戦 2019年8月以降、大学病院と関西BNCT共同医療センター共同で『再発高悪性度髄膜腫』を対象とした医師主導治験を開始しています。これまで再発を繰り返した髄膜腫には、標準的な治療法が確立されていませんので、BNCTの臨床効果が期待される中、現在全国から患者さんを迎え順調に治験を進めています。 治験の成績によっては将来、広く患者さんに行き渡るよう承認申請を進めていく計画です。こうした努力の積み重ねが、BNCTの未来を切り開くものと確信しています。■力を結集しさらなる高みへ BNCTが、がんの治療法として本格的な地位を確立するためには、適応がんのさらなる拡大が不可欠です。それにはBNCTにかかわる専門家・研究者の力を結集して、研究を深めていく必要があります。当センターはこうしたネットワークの拠点としての役割を果たし、BNCTの近未来における本格展開を目指して全力で取り組んでいきます。■新しいがん治療~BNCTの幕開け 加速器(サイクロトロン)並びにホウ素薬剤を取り扱う二つの企業は、BNCTに関する臨床試験の結果をもとに、2019年10月に共同して先駆け審査制度による薬機申請を行い、2020年3月に製造販売の承認を得ました。 また2020年6月には、『切除不能な局所再発頭頸部がん』及び『切除不能な進行頭頸部非扁平上皮がん』に関してBNCT初の保険診療が開始されました。 加えて、大阪医科薬科大学病院の脳神経外科が主導した治験による『再発悪性神経膠腫』(脳腫瘍のひとつ)も承認申請を準備中(2020年10月12日現在)で適応疾患として追加される見通しです。 BNCTは、これまで治療の可能性が閉ざされていた疾患に対して、有効な治療方法として認可されました。これらの疾患でお困りの患者さんにとって大きな福音となるものと考えています。 BNCTは、医学、工学及び薬学の各分野の日々のたゆまぬ挑戦と技術発展の成果の証として今日を迎えています。391SDG2SDG4SDG5SDG6SDG7SDG8SDG10SDG11SDG12SDG13SDG14SDG15SDG16SDG3SDG9SDG17SDG

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