大阪医科薬科大学 サステナビリティ活動 2021
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影響の評価と負荷軽減策の開発についての研究を行ってきました。これらの研究には、臨床、感染症、循環器、環境、そして動物を背景とする研究者が相互に協働し、各々の専門性を活かして一丸となって取り組んでいます。現在、科学研究費をはじめ、日本医療研究開発機構(AMED)や科学技術振興機構(JST)の支援を受けて、オゾン処理等の高度な水処理法の開発及び有効性の評価を行い、流域での水質管理や広域における安全保障として社会貢献が出来るように日々取り組んでいます。 近代的で豊かな現代社会の高度化が進む一方で、持続可能な人類の繁栄と地球環境との関わりについて考えることの重要性を示唆する環境問題が世界的な規模で進行しつつあります。 近年の環境汚染問題は、現代生活を送るために必須の化学物質や、病気の治療や健康のために用いられる医薬品、そしてヒトや動物の活動に由来する病原性微生物が原因している場合も少なくないことが、近年の研究により明らかにされています。これらは、重金属やダイオキシンといった従来型の環境問題と異なり、使用や製造の制限による解決を図ることは困難であり、評価と対策に向けた取り組みを行うことが社会的な課題になっています。 医療機関では病気の治療のため恒常的に医薬品が用いられています。また、病原性微生物からの病院環境の保護や、薬剤耐性菌抑止に向けた対策が必要です。今まさに発生しうる院内感染の早期探知とリスク評価に対して不可欠なものになっています。特に、薬剤耐性菌の問題は暮らしの幅広い領域に関連する課題であるため、WHOはヒト-動物-環境による包括的な対策としてOne Healthによる取り組みを提唱し、各国に国家行動計画の策定を求めています。日本においても薬剤耐性菌の蔓延抑止に向けたアクションプランが制定され、対策が進んでいます。これらの計画の中で、水環境はヒトの生活や居住の安全保障にとどまらず、生態系にとっても重要であるため、環境の薬剤耐性菌への影響について研究を行うことの重要性が挙げられています。 私たちは、これまでに病院と密に協力した体制の下、医療機関に由来する排水の環境への負荷オゾンを用いた高度排水浄化法の開発ワンヘルス(One Health)アプローチ(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター)連携:国立感染症研究所 センター長 黒田 誠京都大学大学院工学研究科 教授 田中 宏明酪農学園大学獣医学群 准教授 臼井 優福島県立医科大学医学部 准教授 村上 道夫三菱電機(株)先端技術総合研究所医療と環境に配慮した病院排水浄化法の開発【薬学部 衛生化学研究室】341SDG2SDG4SDG5SDG6SDG7SDG8SDG10SDG11SDG12SDG13SDG14SDG15SDG16SDG3SDG9SDG17SDG

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