大阪医科薬科大学 サステナビリティ活動 2017
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65社会貢献大阪医科大学BCNT共同臨床研究所・関西BNCT共同医療センターの外観と内観(完成イメージ)次世代がん治療施設としての「関西BNCT共同医療センター」建築について【大阪医科大学BNCT共同臨床研究所】■治療と健康 平成26年12月、大阪府、京都大学原子炉実験所、熊取町が事務局となる検討委員会で「BNCT実用化推進と拠点形成に向けて」の提言がまとめられ、翌27年1月、この提言を受けて本法人理事会で設置が決まりました。同年3月26日にプレスリリースを行い、12月に一般社団法人関西BNCT医療センターが設立されました。 BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)は、ホウ素と中性子の核反応によってがん細胞を破壊する治療法です。あらかじめ投与したホウ素薬剤は、がん細胞に選択的に集積します。中性子線の照射により、ホウ素の原子核からヘリウム核とリチウム核が生成され、これらによってがん細胞を破壊します。放出される粒子の飛程は、細胞のほぼ直径に相当するため、ホウ素を取り込んだがん細胞を選択的に内部から破壊することができ、周囲の正常組織をほとんど傷つけることなく、がん細胞を死滅させることが可能になります。 そのため、初発・単発のがんのみならず、臓器全体に広がったがん、転移性がん、難治性がんにも効果が期待できるほか、副作用が少なく、治療期間も極めて短いというメリットに加え、通常の放射線治療を行った後でも治療可能で、再発がんの治療にも大いに期待されています。現在の治験では、腫瘍と頭頸部がん、皮膚がんなどに高い有効性が認められていますが、今後、対象疾患は更に拡大する予定で、次世代のがん先端治療法として世界の注目を浴びています。 28年9月に着工した工事は順調に進んでおり、30年3月竣工、同年6月の開設を目指します。なお、診療開始は、薬事承認をもって行う予定です。建物が完成すれば、地上3階、地下1階、共同利用型のBNCT専門の医療を行う、大学病院に附設する形では世界初の施設となります。日本の医療界が注目するがん最先端治療の新拠点です。正常細胞 がん細胞 ホウ素製剤中性子 ①治療前にホウ素薬剤を患者に 点滴で投与。がん細胞に ホウ素が取り込まれる。②体外から熱外中性子を照射。③がん細胞内でホウ素と 熱中性子の核反応により 放射線が発生。   ④がん細胞が選択的に 破壊される。

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